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事例紹介 慶應義塾大学様

専門の枠を超えて 幅広く活躍する高度博士人材を育てる
超成熟社会をけん引する次世代リーダー育成にグローバル研修が果たす役割

グローバル人材の育成は、さまざまなフェーズで行われている。慶應義塾大学では2012年より、専門性と周辺総合力を兼ね備えた高度な人材を育てる 「博士課程教育リーディングプログラム」を実施。
ここではプログラム全体の概要とともに、グローバルリーダー養成研修、語学研修に 焦点を当ててご紹介しよう。

※急速な少子高齢化が進展し、 低成長経済が定着した社会の呼称

慶應義塾大学博士課程教育リーディングプログラム「超成熟社会発展のサイエンス」

慶應義塾大学大学院13研究科の中から選抜した教育リーディングプログラム。本格的な文理融合と、産業界・行政体との密な連携による教育環境の中で、高度博士人財(高度な専門性と周辺総合力を併せ持ち、イノベーション創出を図れる若手研究人材)を育成する。現在の超成熟社会に持続可能な発展を遂げさせることが目的。そのプログラムの一環として、本記事後半で紹介するグローバル人材育成の研修が取り入れられている。

これからの将来を担う人材を育成

 慶應義塾大学が実施する「超成熟社会発展のサイエンス」プログラムは、年に文部科学省の「博士課程教育リーディングプログラム」 (オールラウンド型)に採択され、翌年より学生の募集を開始した。 日本は今、少子高齢化、経済の低成長の定着と、先進国の先頭を切って超成熟社会に突入しようとしている。その超成熟社会を持続可能な形で発展させていくには、環境、エネルギー、食糧など、複雑で多岐にわたる問題に取り組んでいかなければならない。そんな状況の中、専門分野のみならず、周辺総合力を備え、国内外をグローバルな視点で俯瞰できる、新たなリーダーの育成が大学教育に求められている。
 三宅力特任教授(大学院理工学研 究科・博士課程教育リーディングプ ログラム)は、同プログラムの意義 について次のように語る。
 「博士課程の人材が従来のように、狭く深く専門分野を究めるだけでは、実社会で貢献できる範囲は限られてしまいます。本プログラムで は、独創的な企画力や高いマネジメ ント力、国際的視野も兼ね備え、次世代のリーダーとして、さまざまな 分野で活躍する高度博士人材の育成と輩出を目指しています」 プログラムの期間は5年間。13の研究科から、文系理系を問わず毎年20名ほどを採用している。理工学、医学、薬学、政策・メディア、法学、文学、社会学と、学生のバックグラウンドは多彩だ。「文理融合は本プログラムの基本理念です。学生は最終的に各専門分野で博士号を目指しますか?、その前に主専攻と副専攻でつの修士号を取得しなければなりません。しかも、例えば主専攻が理工学なら、副専攻として経済学や商学を履修するというように、文系と理系をバランス良く履修します。そうすることで学問の幅と人としての視野が広がりますし、専門分野の研究においても独創性や俯瞰性が高められるからです」。

産官学協同体制で臨むプロジェクト演習

 プログラムの特長の一つが「メンター制」。毎週土曜日、日本を代表する企業や行政機関などから、部長クラスの人々が約名、メンター(指導者)として来校する。産官学協同体制で、産業界や社会の生の課題を学生に提供しているのである。
 メンターの下で指導されるプロジェクト演習は、年間を通して継続される。学生は超成熟社会を念頭に、各自で課題を掘り起こし、解決策を求めて議論と研究を深めていく。その結果を政策や企業戦略提言につなげることが、演習の最終目標である。
 「プロジェクトは、いずれも実社会の要請を投影しており、重要度においては、第の専攻にも等しいと考えています。地方自治体として川崎市も協同しており、高齢化が進む地方自治体の未来像を作ることが、ミッションの一つでもあるのです」。

グローバルリーダーのための2つの研修プログラム

 リーディングプログラムでは、「グローバル時代のリーダー」の育成も重視されていることから、海外インターンシップと短期留学の2段階で、学生の海外派遣を行っている。「本プログラムの1年目の終わりに、約1カ月の海外インターンシップを経験します。一般企業、NPO、行政機関と、自分の専攻とはまったく関係ない分野で働くのです。ひと月後には例外なく、みんなひと回り大きくなって帰ってきますよ」と三宅教授は語る。
 こうした海外での活動を支えるため、1年次には特別な研修を実施している。グローバルリーダー養成研修と英語コミュニケーション研修の2つで、グローバル人材育成に定評のあるアルクが委託さグローバルリーダーのための2つの研修プログラムれている。
 グローバルリーダー養成研修は、他者と協働し、組織をけん引するリーダーの養成を目的としている。アメリカ・シリコンバレーを拠点とするコンサルタントを講師に迎え、参加者中心の「体験的学習アプローチ」を行う。使用言語は英語(本記事に続けて研修レポート)。
 英語研修は初級、中級、上級の3レベルに分け、1クラス3?5人で実施。「聞き取る力」→「今の英語力を使って話す力」→「ディスカッションやプレゼン力」と、段階的にコミュニケーション力を養う(P.53にレッスンレポート)。
 受講生は年度の終わりには確実に英語力が上がり、また、コミュニケーションについて多くの気付きを得ているという。
 「このリーディングプログラムも3年目となり、これまでの実績に手応えを感じている」と三宅教授。
 本プログラムから巣立った若きリーダーが、超成熟社会に羽ばたく日も、そう遠くはなさそうだ。

学生の声

多様な専門分野の人たちと一緒に学べるのが良いですね。自分の研究とは直結していなくても、いろいろなことに興味を持つことは大事だし、他の人の手法にインスパイアーされて、自分の研究にも応用してみようという発見なども実際にあります。(理工学研究科)
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参加者中心体験的アプローチ グローバルリーダー養成研修

真のグローバルリーダーとはいかなるものか? グローバルリーダーとして目的を達成するために必要なこととは? シリコンバレーを拠点とする企業研修コンサルタントの講師から、これらのことを丸一日かけて体験的学習アプローチで学ぶ。 充実のプログラムのエッセンスをご紹介する。

クラス形式
10人
講師
Jeff Richardson(シリコンバレーを拠点とする企業研修コンサルタント。
アルクパーソナルコンサルタント)
レッスン数
1学期1回(土曜日)
取材日時
2014年7月26日 9時~17時

0 Introduction

研修は椅子を車座に並べ、リラックスした雰囲気の中で始まった。まずはペアで自己紹介。CreativeGreetingsをせよ、との課題。参加者はハイタッチしたり、腕を組んだり、体をぶつけ合ったりと"創造的な"挨拶をする。アイデアを出し、互いに触れ合うことで参加者に一体感が生まれ、何か新しいことを学べそうな期待感が高まる。また、子ども時代のヒーローや自分がこれまでに成し遂げたことなどをパートナーと語り、皆の前で発表。ここで講師が「リーダーシップには、コミュニケーションをしてお互い共有できることを増やしていき、コネクションをつくることがとても重要」と説明。さらにこの研修のテーマが「コミュニケーション」「リーダーシップのあり方」「ビジネスの阻害要因の克服」「変革」であることなどを確認する。講師は常に各トピックについて、単に情報を提供するだけでなく、参加者に体を動かさせ、考えさせ、話させ、議論させて定着させるが、これはアルクが提唱する「TEDAモデル=Theory→Exercise→Discuss→Apply(適用する)」に沿ったものだ。

Introduction

1 Breakthrough Thinking 現状打破の思考

失敗を恐れないこと、固定観念や思い込みを取り払うことなどが、成功につながることを学ぶ。目標達成の失敗の3大要因は「あいまいな目標設定」「コミュニケーション不足」「不明確な優先順位」だが、この目標設定を誤らせるのが「失敗への恐れ」「不可能と思い込むこと」である。こういった思い込みをなくし、好奇心を持ち、試すことをためらわず、世界のさまざまな人とつながる能力こそがグローバルマインドだと 講師は説く。固定観念や思い込みの弊害に関するアクティビティーがいくつか行われたが、参加者が最もインパクトを受けていたのが「バスケットボールの試合で白シャツチームが何回ゴールを入れたかを数える」という課題のビデオ。実はこのビデオには、ゴールのカウント以外に「あるもの」が隠されているのだが、カウントに気を取られていたほとんどの人がそれに気付かなかった。「あるもの」は、目先のことのみに捉われていて見逃しがちな重要な機会やデータ、他者の意見やアイデアなどを象徴しているという。

Breakthrough Thinking 現状打破の思考Breakthrough Thinking 現状打破の思考

2 Effective Communication 効果的なコミュニケーション

グローバルな環境では特に重要となるコミュニケーションについて、時間をかけてさまざまな体験学習を積む。参加者全員に折り紙を配り「目を閉じる」「紙を半分に折る」「右の上をちぎり取る」など9段階の指示を出す。目を開けて折り紙を広げると、出来上がりはほぼ全員異なっている。多様な人が多様な捉え方をするので、一方通行の指示ではこのような食い違いが生まれるのだ。
また、対面の会話では、ボディーランゲージや声のトーンが重要な役割を果たすことを学ぶ。対面会話での意味伝達において"言葉"が占める割合はわずか7パーセントというデータに参加者は驚く。続けて"Bla!Bla!Bla!"という意味のない言葉のトーンとジェスチャーだけで短いストーリーを作るアクティビティーなど。日本人が苦手な、明確に、そしてバラエティ豊かに表現する力の重要性を確認。
さらに、相手の話に対して"Yes' but ..." ではなく" Yes' and ..."、といった前向きな言葉で広げていくことの有効性なども実際の対話を通して学ぶ。

Effective Communication 効果的なコミュニケーション

3 Goal Setting &Priorities 目標設定と優先順位

目標達成に必要な「明確な目標設定と優先順位」について、数々のアクティビティーや過去の事例から学ぶ。例えば、長いクジャクの羽根を手のひらに載せてバランスを取る演習。ここでは全体像を把握しゴールを明確にすることの大切さを体に刷り込む。いきなり本物のクジャクの羽根を渡された参加者は、最初戸惑いつつも、いかに長い間、羽根を立たせられるか試行錯誤する。その後、成功の秘けつと演習の狙いを教えてもらうと納得の表情を見せた。また、全員で2列向かい合わせに並び、長い棒を皆の指に載せて接着させたまま床に下ろすという「一見簡単そう」なミッションでは「分裂した目標設定」の弊害を体験。また、SMART(Specific/Measurable/Agreed to/Realistic /Time-bounded)GOALという手法を通じて、確実な、そして効率的なゴール達成の仕方を学ぶ。

Goal Setting &Priorities 目標設定と優先順位Goal Setting &Priorities 目標設定と優先順位

4 Leadership Strategies リーダーシップ戦

まず、knowledge、loyalty、power、fairness、collaborationなど24の価値観の中から、重要だと思うものを3つ選ばせる。さらに、リーダーには「模範を示す」「ビジョン共有のためチームを鼓舞する」「斬新な解決法にチャレンジする」「協働しやすい環境をつくる」「承認と感謝でチームを励ます」などのスキルが求められるが、その中から最重要と思うものを選び、同意見の参加者となぜそう思うのかを議論する。リーダーとして何を自分のよりどころとするのか自覚することが肝心なのだ。
「リスクを恐れず新しい解決方法を考える」疑似体験として、SWITCHというゲーム(円陣を組む→向かいの人がパートナー→真ん中にボールを置く→できるだけ速く、ボールにタッチし誰にも触らないでパートナーのポジションに移る)に取り組む。皆と知恵を出し合い、最適と思われる方法を試した結果、見事5秒以内で成功した。

Leadership Strategies リーダーシップ戦

5 Building Trust 信頼関係を構築する

リーダーとして「信頼」関係を築く重要性について。講師は、うまくいっていないチームの特徴は「結果軽視」「説明の欠如」「コミットメントの欠如」「衝突の恐怖」「信頼の欠如」だとし、その中で最も深刻なのが「信頼の欠如」と説明。
信頼関係をつくるには、何が必要か。それを体感するためにアクティビティーを体験する。ペアを組んで1人は目を閉じ、もう1人はその肩に手を掛ける。そのまま2人で教室を出て廊下を歩いて行き、また帰ってくる。目が見えるほうはパートナーに、行く手にあるものや足下の障害物などについて、言葉でしつこいほど説明していく。そういった真摯で丁寧に説明する姿勢が信頼につながるのである。

Building Trust 信頼関係を構築する

5のBuilding Trustに続き、講師は「変化」に対して否定的な反応をしがちな人々をどう導くか、といったことに触れ、プログラムは終了した。
長丁場の研修中、講師は常にリラックスしたムードを醸し出しながら、予想もつかないアクティビティーや問い掛けを次々に繰り出し、参加者のモチベーションを上げていた。参加者もそれに応え、楽しく真剣に取り組んでいた。学生からは今日得た気付きを「来週の小プレゼンの質疑応答で試してみたい」という声も聞かれた。

学生の声

グローバルリーダーの心得は、今までは知識として聞き「へえ」と思うだけのものがほとんどですが、このプログラムは自分で動いて楽しみながら納得できます。例えば「バスケットボール」の課題が伝えるものは「自分の判断の他に人の視点も必要」「1つのことに捉われると視野が狭くなるよ」ということだと思いますが、これが言葉のメッセージだけならすぐ忘れてしまう。体験学習だと思い出す時「バスケットボールだったなあ」(笑)と記憶から取り出せるのがいいですね。(薬学研究科)

英語コミュニケーション研修

国際社会で活躍するために必要な英語コミュニケーション力を養成。
ここでは、中級の「クリエイティブ・スピーキング」レッスンを中心にレポートする。

クラス
初級・中級・上級の3レベル。それぞれ3~4人
講師
高橋まき(初級)・上野康江(中級)・Takao Kasum(i 上級)/アルク所属。
初・中級担当の日本人講師はTSST※評価官
レッスン数
通年(5月~翌年1月まで)で18回(毎週土曜日)
取材日時
2014年7月19日 9時~12時30分

今ある英語で話す内容を作り出す クリエイティブ・スピーキング 中級にフォーカス

● クリエイティブ・スピーキングとは

日本人の多くは、英語の基礎知識はありながら、実践でうまく使えずにいる。「クリエイティブ・スピーキング(CS)」では新しい単語や文法は扱わず、その人がすでに持つ英語力を、「実践的スピーキング力」にまで高めることを目指す。描写する、比較する、質問する、理由を述べる、説明するといったたくさんのファンクションについて、ポイントとなる方法論を学び、発想する練習を重ねることで、話す内容を作り出せるようになる。

1 本日のレッスン目標―Target Function

学生と挨拶を交わしながら、先生がホワイトボードにレッスン目標を書いている。教室での会話は全て英語。今日は"Preference and Wishes"( 好みと願望)について学ぶ。I like to do、I enjoy ~ing、I prefer、I hate など、好き嫌いの表現は数々あるが、今日は「理由」の部分に注目していく。

本日のレッスン目標―Target Function

2 ウオームアップ

ヘビやニンジンなど、先生が名詞を挙げ、学生はそれが好きか嫌いかとその理由を簡潔に答えていく。一巡したところで、できるだけプラスアルファの情報を盛り込んでみようと、先生がアドバイス。例えば話題が音楽なら、好みのアーティストや曲に触れるなど、無理なく話を展開するヒントが示されていく。

3 1分間スピーチ(1)

続いて"Which do you prefer' A or B ? "という質問を聞いて答えを選択し、その理由を述べる練習。先生はタイマーを手にし、学生は1分間話し続ける。だが1分間は思いの他長く、途中で話すことがなくなってしまう学生もいた。自分の体験に引き付けたほうが話しやすいこと、難しい単語が口から出てこない場合は、知っているやさしい語で言い換えれば良いこと、"forexample"や "such as"で例を挙げ、ディテールに踏み込んで話すことなどを学んだ。

4 グループワーク

"Why do you like Keio University? "という先生の質問を基に、まず母校の良い点を列挙。一通り意見が出ると、今度はその意見をもっと掘り下げてみることに。「バラエティーに富んだ授業が取れること」を利点として挙げた学生は、なぜそれが自分にとって良いことなのかを、"I study art, but I have a chance to study other subjects,such as biology. I can make friends from diff erent faculties."と説明。できるだけ具体的に、できるだけ詳しく理由を話すというコツがつかめてきたようだ。

5 プレゼンテーション

学んだことを応用し、「慶應義塾大学が好きな理由」を整理して1人ずつ発表する。
思い思いに具体例や個人的な意見を盛り込み、それぞれ立派に英語のプレゼンテーションとして成立させている。難しい単語を使わなくても、身近な接続詞で文章をつなぎ、ずいぶん長く話せるようになった。
lots of students from different backgroundsを、diversityという端的な言葉に言い換える学生もいて、自分らしい英語表現を目指す試行錯誤が続く。

プレゼンテーション

6 1分間スピーチ(2)

「~が好き・嫌い」に続き、「~が欲しい・~をしたい」という、より積極的な意思の表し方を学ぶ。まずは「授業が終わったら何をしたい?」「今、欲しいものは何?」など、先生が一人ひとりに英語で質問し、学生は、I want ~、I'd like to ~、I wish ~など、中学で学ぶ表現を使って、1分間ずつ話していく。ここでも「~が欲しい」だけで終わらず、できるだけ詳しく、また具体的に理由を述べることに重点が置かれている。質問された1人の学生が、答えに詰まって戸惑う様子を見せた。先生がすかさず、難しい質問に当たっても黙り込まないための対処法を説明する。 "Oh' that's a diffi cult question' but let me see ..."のひと言を口にすることで、周囲に違和感を与えず自分の考えをまとめる時間が取れる。
学生は無事に話を続けることができた。授業はその後、「欲しいもの・したいこと」をめぐるグループワーク、そしてプレゼンテーションと進んでいった。

学生の声

知っている単語でもなかなか口に出てこなくて、肝心なところですぐに使える単語が極端に少ないのが自分の弱点。 センテンスの作り方もわかっているのに実践ではうまくできない。このレッスンはそういう面での訓練になっていると思います。(商学研究科)

● 初級

初級

● 上級

● 上級

上級者向けの「コミュニケーション」クラスは、英語によるディスカッションやプレゼンテーションが中心。ネイティブスピーカーを講師に、実社会のさまざまな場面に対応するための、より高度な英語表現やコミュニケーションスキルを学んでいく。

英語研修の効果は?

年度の初めと終わりに受験するTSSTでは、受講した全員が1レベル上げる。中には2レベル上がるケースも。

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