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事例紹介 東北大学様

未来のトップリーダーを育てる東北大学工学教育院 東北大学の場合

新入生を対象にグローバル意識の育成と、将来のビジョン形成を実施

急ピッチで進む大学のグローバル人材育成

 グローバル化が進む中、国際競争力の向上および、世界で活躍できる
人材の育成が急務となっている。文部科学省は、若い世代の「内向き」になりがちな目を外に向けさせ、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材を育成するため、グローバル人材育成推進事業を立ち上げた。大きな柱は国際化を進める大学の支援だが、東北大学も対象大学の一つだ。
 同大学では、外国語力や行動力、国際教養力などの向上を目指す授業や、グローバルリーダーを目指す学生向けの特別育成プログラム、各界で活躍する人物をゲストに招いたキャリアアップセミナーなどを実施し、学生たちの意識改革を図る。
 今年度、896人の新入生を迎えた工学部では、5月の大型連休明けにセミナーを開催(詳細は51ページ)。学生たちのグローバル意識を高め、将来どうありたいかのビジョンを明確にし、充実した学生生活を送るよう促した。
 この取り組みは、工学部と工学研究科(大学院)に今年度設置された「工学教育院」の施策である。特任准教授の須藤祐子先生は、工学教育院創設の背景や大学教育の変化について、次のように話す。
 「近年、海外に進出する企業が増えたことで、求められる人材が変わってきています。この波は大学にも来ていて、企業に就職することになる学生を教育する大学への要望も変化しました。以前は、専門知識を身に付ける座学教育が中心でしたが、多様化する社会に対応できる力、例えば問題を発見して解決できる力、発信力、創造性などの育成が求められています。こういった力を付ける学びの機会を提供し、グローバルに活躍できる研究者や技術者を育成強化することを目指してスタートしたのが工学教育院です」。

知識教育に加えて学生の個性を伸ばしながら学ぶ意欲の向上を図る

 工学教育院設置と同時に導入したのが「レベル認定制度」だ。従来の成績評価とは違う物差しで学生の理解度や到達度などを評価することで、自分の強み、弱みは何かに気付き、学ぶ意欲を促したいという。
 「いかに問題意識を持って課題や研究に取り組んだかという態度や、論理を展開する力などを評価します。学生たちには、自分の強みや得意なことを知り、それを伸ばすきっかけとして活用してもらいたいと思います。自分は何のために大学で学ぶのか。それを意識して過ごせば、大学の4年間はとても大きなものになるはずです」。
 学生の中には、大学に入学したことで安心してしまい、基礎学力を養成するべき時期に目的意識を見失ってしまう人もいるかもしれない。だが、自分はそもそも何を学び研究するために進学したのか原点に立ち返ることで、姿勢は変わるだろう。レベル認定制度は、自身の個性に気付くきっかけ、さらには大学で学ぶ意義を見直す機会にもなるはずだ。

これからの日本を支え、けん引するトップリーダー輩出のために

 工学部・工学研究科の学生の多くはエンジニアの道に進むという。日本の産業をけん引するトップリーダー育成も工学教育院の使命であり、須藤先生は学生たちにその土台づくりをしてほしいと願う。
 「今日のセミナーでは、リーダーとしていろいろな人を率いることになった際に必要となるエンパワーメント※ も学びましたが、自分の考えを述べ、メンバーが共感して良かった点をフィードバックするという体験は、学生のほとんどが初めてだったと思います。相手の考えや価値観を知り、自分の意見とは違ったとしてもまずは受け入れ、共感の気持ちを表すことはさまざまな人と働く上で大切なスキルです。学生たちには自分の主張も大事にしながら、相手のことも尊重できるリーダーになってほしいですね」。
 世の中に自分がどう役立ちたいか、何のためにどういう技術を開発していきたいのか、自分なりのゴールを設定することで困難な状況に遭った時にもそれを乗り切れる力が付くだろう。世界を先導する革新的な技術や新しい学問分野を開拓・展開し、持続可能な社会の実現に貢献するリーダーの育成を目指して、工学教育院は専門教育、語学教育、トップリーダー教育など幅広い教育の場を提供していくという。

※話者の話をしっかり聞き、いいと思った点、感心した点を伝えて、共感を表現すること。

これからの日本を支え、けん引するトップリーダー輩出のために

東北大学工学教育院特任准教授(教育)
須藤祐子先生
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東北大学グローバルビジョンセミナー

将来、グローバルリーダーとして活躍するために必要なマインド、そしてビジョンとは?
共に学ぶ仲間と考え、互いの違いから多様性を知り、意見を交換し合った2時間のセミナーをレポートする。

学生
工学部1年生
講師
吉中昌國
(アルクグローバル人材育成コンサルタント)
取材日
2014年5月10日

1 Introduction 自己紹介

多様な人と意見交換をするために、知らない人同士で4人1組になり着席。メンバー同士で名前を言って握手をした後、吉中昌國講師が自己紹介。京都出身でアメリカ留学の経験があること、帰国してからこれまでの話、趣味やペットについて、ユーモアを交えながら語った。初対面でも、プライベートやちょっとした秘密を話すと、相手への親近感が増し、心の距離が近くなるもの。一人ひとり「違い」があることを知り、このセミナーでじっくり膝を交えて話ができるよう、学生たちも1人2分で、興味のあることや出身地などをグループのメンバーに話した。互いの関心事を知ることで場の雰囲気が一気に和んだ。

Introduction 自己紹介

2 Global Mindset グローバル思考とは

グローバルに成功するには、どんな力が必要か。メンバーで意見を出し合い、紙に書いていく。コミュニケーション力、語学力、発想力、積極性、教養、熱意。たくさんの項目が挙がったところで、吉中講師が国内で成功するために必要なものを消すように言うと、次第に戸惑いの声が上がる。そう、どこであろうと大切な力は同じなのだ。
「スキル」「知識」「精神・姿勢」。グローバルに活躍するには、バランス良く3つの要素を備えることが大事であり、これを知った上で各自10項目を選ぶ。続いて、特に大切だと思うものを1、2個考え1人1分で発表していく。話に熱中し、もっと時間が欲しそうな学生の姿も見られる。吉中講師は「他の人は、自分とは違う視点を持っていることに気付いたのではないでしょうか。異なる意見を共有することが大切なのです」と言って、10個の力を伸ばしていくためにできることを説明した。

Global Mindset グローバル思考とは

3 The Jo-hari Window ジョハリの窓

いろいろな人と協力して、研究することになる学生生活。より良いチームワークを築くには、自分の考えを他者に伝えることなどが有効である。「ジョハリの窓」という心理学のモデルを通して、人間関係を円滑にするための考えを学ぶ。

4 Problems & Solutions 深刻な問題とその解決

「ジョハリの窓」の実践として、自分が深刻だと思う問題について意見を述べる。地球温暖化、少子化、外交など、実にさまざまな問題が挙がった。
次は、その問題を解決するために「自分ができること」は何か、アイデアや夢を1人ずつ語る。エネルギー問題について、工学の力でコストやエネルギーを減らしたい、そのために工学部を選んだと熱く話す学生。ものづくりは日本が誇る技術。ただ他国にもまねできることなので、資源が少ない日本はマーケティングが大事だと語る学生。熱心に意見交換する声が教室に響く。

Problems & Solutions 深刻な問題とその解決

5 Vision Sharing ビジョンの共有

自分が目指す理想の姿、未来のイメージを言語化する。「先ほど考えた10個の要件や、問題とリンクさせてもいいですね。生き生きと活躍する自分をイメージして、手元のシートに書き込んでください。また理想を実現させるために必要な行動も考えましょう」と吉中講師。発表の後にはエンパワーメントも行う。宇宙開発に関する仕事がしたいので毎日英語を勉強し、ボランティア活動や海外旅行をして視野を広げたいと話す学生。「目標が明確でいい」「チャレンジ精神がある」とメンバーに言われ、「褒められてとてもうれしい」と照れていた学生。どのグループでも活気あふれるやりとりがなされ、最後に全員で拍手をすると、学生たちの笑顔がこぼれた。

Vision Sharing ビジョンの共有Vision Sharing ビジョンの共有

学生の声

今回のようなディスカッションは初めてだが、メンバーとそれぞれの考えを共有し確認し合い、今まで考えたことがなかった新しい見解が得られた。しっかり自分の意見を言いつつも、楽しく話し合えることを学んだ。また、理想の自分に近づくために今何をすればいいかがわかった。
●人によってビジョンがそれぞれで、共有できる点や参考になる点がたくさんありモチベーションが上がった。自分のしたいことをメンバーに語ることでビジョンを再確認できたし、グローバルな考えを持つために必要な要素も発見できた。
●世界レベルの視点で物事を考えることで、自分の将来についてより深く考えることができた。グループに中国からの留学生がいて交流が楽しかった。

セミナーについてのお問い合わせ アルク 文教営業本部/文教ネットワーク部
TEL 03-3595-2841 bunkyo@alc-education.jp

参加者アンケート

参加者アンケート

【総評】
今後一緒に学ぶ仲間として、互いを知り、相違点(=多様性)への気付きを促す目的で開かれたセミナー。「知らない人にはビジョンを話したくなかった」という学生もいたが、結果は大多数がポジティブな回答となった。

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